先日、実家より便りが届いた。
時候の挨拶を綴りながらも、私の卒業後の進退を気遣う様子が見て取れた。
未だ流浪の修行の身故、父上の目を盗みながら母がこっそり送ったものであるらしい。
その封の中に、一枚の写真が添えられていた。
雪白唐子。
庭で最初に咲いた椿を活けたとのこと。
降り積もる雪中から力強く芽吹き、
やがて大輪を結ぶこの花に如何なる想いを篭めたのだろうか。
椿は世に云う
「落首花」である。
その花がぽとりと落ちる様子から、古来武家では忌み嫌われたという噺が一般に広まっている。
だがそれは、明治以降の武士道回顧の風潮が造り出した流説である。
戦国時代に於いても、秀吉が愛した大徳寺の「胡蝶侘助」や、
元祖傾向者武将の信長の弟である織田有楽斎の愛でた「有楽椿」等が在る。
茶道や和歌を好む数寄者よりも更に傾いて見せた傾奇者達の、
武辺の意地と見栄と誉れの一つの象徴になっている。
諸式に煩い江戸時代に到っても椿の花は大いに流行し、
二代将軍の秀忠でさえ江戸城の吹上(庭園)に各地の椿を集め、
後に「江戸椿」と呼ばれる品種の流行を産み出したと云う。
それより少し時代を遡り、万葉の頃。
この時代にも、落ちる様の儚さを枕草子などに詠われた美しき花が在った。
栴檀(せんだん)。
古名は
「樗(おうち・あふち)」(楝とも書く)と呼ばれ、
暖かい地方に自生して梅雨の季節に花開く高木であり、
仏像にも使われる程に霊の宿る神木と見做されていた。
この花の古名を冠し、今の世に仄かな華を咲き誇らせる一人の少女が居る。
穂村みずる。
普段は垣間見せぬその冷たき瞳は、何を見据えているのだろうか?
彼女が咲かせて散らすその花は、
何時も鉄錆にも似た紅い五弁の花である。
身近な者達に聞く勇気が在れば、その首を代償に答えは求められるだろう。
樗には、実はもう一つの忌まわしき謂れが在る。
それは、嘗て落とされた罪人の首を枝に括って晒す木であった事。
彼女自身は未だ、この事実を知らないままである――。
「袴姿似合ってますね~」
「そうですか?履いてみたかっただk…いえ、ありがとうございます。」
「でも、『おうち』って珍しい読み方ですよね。」
「えぇ、髪の色からイメージして…」
「あぁ、刺されて『Ouch!!』って訳じゃないのですね~」
「………(無言で巽の影武者を刺した)」
※注意※
此処に掲載したSDピンナップは、
株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、
藤堂巽・結更夜・凪龍一朗・黒執躑躅・芹澤望・藤原洸太・芹澤天・榑林燈子・雨乃森珪・中村淳子・
芹田礼次郎・芹田俊一郎・煌月朔・瑛月しわす・森山樹里・堀田ノラ・相澤悟・坂上飛連・穂村みずる…
(以上敬称略)が、作成を依頼したものです。
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SDの集合画像(今回より分割;;)は、クリックすると別画面で大きくなります。
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・・・・・・とうとう、絵巻が分割しないとアップロードの容量超える事になりましたorz
此の企画に関しては
コチラを一読して頂く事を推奨致します。